キヤノンの「Powershot G1 X」というゴツくてすごいカメラがあったのである。
ちょうど2年ほど前か。他社がレンズ固定式の大型センサー搭載ハイエンド機を出している中、ズームレンズ搭載機としては最大の1.5インチ(18.7×14ミリ)イメージセンサー搭載という破格のスペックで登場したのだ。1.5インチといえばマイクロフォーサーズ(4/3、つまり1.25インチ)より大きくてAPS-Cよりは小さいサイズである。コンデジとしては破格の大きさだ。
その後継機として出てきた「PowerShot G1 X Mark II」はどう進化したのでしょう。
その前に、普通、Mark IIというと、キヤノンでいえば「EOS 5D」と「5D Mark II」のように同じデザインコンセプトや操作系を受け継いだ後継モデルだと思うじゃない。わたしもそう思っていたのだが、実際には前モデルと全然違うのである。もうフルモデルチェンジ。
これにはびっくり。むしろ、トヨタのコロナとコロナ マークIIくらい違うというか、そんな70年代の話はアレだが、コロナ マークIIはやがて「コロナ」がとれて単なるマークIIになったんだけれども、G1 X MarkIIもそのうち「G1 X」が取れてPowershot マークIIになるんじゃないかというくらい違ったのだ。
よく見ると、従来のPowershot Gシリーズのデザインやコンセプトをそのまま受け継いだ(悪いいいかたをすれば、ひきずった)初代G1 Xに対し、新たに大型センサーを搭載したコンパクトデジカメとしてイチから設計し直したのがMark IIなんだなということが分かる。Mark IIじゃなくて、G2 Xにしてもいいんじゃないかというくらいだ。
というわけで、初代G1 Xとの違いが気になるところ。
まずは初代のG1 X。
1.5インチで有効1430万画素という破格のスペックで登場したG1 Xで注目したいのは2点。ひとつは2階建てになったダイヤル(上がモードダイヤルで下が露出補正ダイヤル)とグリップ部の電子ダイヤル、そして光学ファインダーだ。液晶モニタはバリアングルである。レンズは35ミリ換算28〜112ミリ相当の4倍ズームであったが、最短撮影距離が広角端で20センチ、望遠端だと85センチと寄れなかった。
続いてG1 X MarkIIである。
1.5インチで有効1280万画素(有効画素数が減った理由は後述)で24〜120ミリ相当とズーム倍率を上げながら開放F値はF2.0-3.9と、望遠端でも明るいレンズを搭載。しかも最短撮影距離が広角端で5センチ、ワイド端でも40センチと短くなったのだ。これなら普通に寄った写真を撮れる。素晴らしい。ボディも似てるようで全然違う。
わたしが違和感を覚えたのがこのボディの違い。Powershot Gシリーズを受け継いだ光学ファインダーはもとより(個人的には、EVF内蔵でくると思ってたのでびっくり。ちなみに外付けEVFは用意される)、露出補正ダイヤルも前電子ダイヤルもなくなったのだ。
ファインダーとメカニカルダイヤルを主とする操作系がGシリーズの個性だと思っていたわたしはそこに驚いたのである。でもGと名が付くからにはマニュアル操作が容易でなければならない。Mark IIではどうしたか。メインの操作を鏡胴周りのリングに切り替えたのだ。
太い鏡胴部には2つのリングがついている。ボディに近い方のリングは幅があって回転にクリック感がある。遠い方のリングは幅が狭くて回転は滑らかだ。フォーカスリングをイメージしたものと思っていいだろう。MF時はこれでフォーカシングを行う。左手で保持したレンズ部でリングを回して操作するのである。
さらに背面にも十字キーの周りにホイールがあるので、回転系UIが全部で3つ。それらに割り当てる機能は自由に決められる。
わたしは、レンズ周りのリングを絞り値(あるいはシャッタースピード)と、露出補正、背面のホイールをISO感度に割り当ててみた。そうすれば普段の操作はダイヤルだけでできる。まあどこに何を割り当てるかはお好みで、ということで。
MF時は手前から遠い側のリングがフォーカスリングに変身し、自動的に拡大された画面を見ながらフォーカシングできる。これはいい。
ボディがコンパクトな割に鏡胴が太いので、グリップした右手の指とリングを回す左手の指が干渉して窮屈に感じたけど気になったのはそのくらい。背面に回るとモニタはチルト式で自分撮りも可能な180度回転するタイプ。タッチパネル搭載だ。
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