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ドット・バイ・ドット表示に色温度設定――カメラ好き注目の4Kテレビ

» 2014年04月24日 09時30分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 各社から新製品が相次いで発表され、にわかに盛り上がりを見せる4Kテレビの春モデル。ネイティブコンテンツ不在の中、メーカー各社は新しい用途提案にも力を入れており、その1つにデジタルカメラがある。フルHDの縦横2倍という高精細な大画面テレビを写真の鑑賞や確認に活用する提案だ。

ソニーの4Kテレビ発表会では、フルHDテレビとの解像度比較デモ(左)や「α7」の展示もあった(右)

 例えばソニー“BRAVIA”(ブラビア)の4K対応モデル(X9500B、X9200B、X8500B)では、写真データを表示するための「オリジナルサイズ再生」という機能を設けた。最近のデジタルカメラは4K(829万画素)を超える画素を持つため、撮影画像を表示する際も縮小表示されるのが普通だ。しかしオリジナルサイズ再生なら、元画像から829万画素分を切り出し、ドット・バイ・ドットの表示が可能になる。一部だけとはいえ、実解像度で表示することで、ボケ感やピントのチェックができる。

ブラビア「X9200B」シリーズで写真をドット・バイ・ドット表示しているところ。ボケ感やピントもチェックできる

 このほか、テレビ向けのネットサービスとして、同社の写真・動画共有クラウドサービス「PlayMemories Online」、αユーザーのコミュニティサイト「αカフェ」、世界中から集められた写真を共有・購入もできるフォトコミュニティサービス「500px」が利用できる。4Kテレビの解像度を活用できるコンテンツサービスといえそうだ。

αユーザーのコミュニティサイト「αカフェ」

 一方の東芝“REGZA”(レグザ)「Z9X」シリーズは、ハイアマチュア層やプロカメラマンにうれしいモニターライクな表示モードを新設した。「映像メニュー」を開くと、「映画プロ」「ゲーム」などと並び、「モニターD65」(色温度6500ケルビン)と「モニターD93」(同9300ケルビン)が出てくる。同社は昨年秋、「Z8X」シリーズ向けにプロユースモニターに近い画質にするための設定を公開したが、今回はそれを一歩進め、メニューから手軽に呼び出せるようにした。

東芝は最も幅広いサイズの4Kテレビを発表した。左は84V型の「84Z9X」、右は40V型の「40J9X」。“X”が付いたモデルは4Kテレビだ

映像モードに「モニターD93」「モニターD65」を新設

 D65は、sRGB規格をはじめPC向けのディスプレイで多く使われる色温度設定で、D93は放送など映像コンテンツの標準となっている。一方、写真撮影やDTP分野で使われることの多い「D50」(色温度5000ケルビン)はプリセットされていないものの、開発担当者に1つ裏技を教えてもらった。前述の「モニターD65」モードを選び、詳細設定の「色温度」を最も低い位置(0)に合わせると、ちょうど5000ケルビンになるという。変更した後でユーザー設定として記録しておくこともできるため、2回目以降は簡単に呼び出せる。

現状、唯一4K動画撮影に対応したデジタル一眼カメラ「DMC-GH4」を持つパナソニック。撮影した動画をそのままのクオリティーで楽しめる4Kテレビを一緒に訴求する

 画質設定という点では、パナソニックの“VIERA”(ビエラ)「AX800/AX800F」シリーズもかなりマニアック。同社はiOS/Androidのスマートフォン/タブレット向けに専用リモコンアプリ「TV Remote 2」を提供しているが、その1機能「スマートキャリブレーション」では、色空間やガンマなど、非常に細かい画質設定が行える。テレビ画面ではなく、タブレットなどの“セカンドスクリーン”で調整できる点も便利だ。


 春の新製品が登場し、画面サイズや価格の幅も広がった4Kテレビ。自慢の作品を大画面に映し出せば、写真の楽しみ方も広がるかもしれない。

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