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第179回 花火の基本と構図と穴場の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2014年08月07日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 各季節の風物詩となれば写真に残しておきたいと思うのが人情というもので(たぶん)、夏といえば打ち上げ花火は欠かせない。この連載でも取り上げたいのだが、いかんせん、7月は水着撮影の回が入るし、8月後半では遅すぎる。

 8月上旬ならギリギリ許してもらえるだろうか。お盆には帰省して花火を見る人も多そうだし、お盆の時期の花火大会も多かろうということで、今回は花火を撮るのである。

Photo

花火撮影の基本は決まっている

 打上花火を撮るのはそう難しくはない。基本はしっかり決まっているからである。基本だけ押さえておけば、まず最低限の写真は撮れるのだ。

  1. 必要な機材を用意する
  2. 撮影場所を確保する
  3. 基本に忠実なセッティングを行い、試し撮りをしておく
  4. 花火が始まったらはじめの10分くらいであれこれ試してセッティングを整える
  5. 撮るべし

 である。セッティングさえ覚えれば難しくない。

1.必要な機材

 機材は最低限これだけあればなんとかなります。

花火撮影機材 レンズ交換式カメラとケーブルレリーズとトラベル三脚

 カメラはレンズ交換式でもレンズ一体型でもいいが、マニュアル撮影(特にマニュアルフォーカスとマニュアル露出)が可能なものにすること。レンズが何であるかは問わない。打ち上げ場所から近ければ望遠レンズはいらないし(むしろ、広角〜標準系ズームが1本あるとそれで話は済む)、遠ければ、標準からやや望遠寄りのレンズがいい。まあ打ち上げ場所が数100メートル以内なら普通のハイエンドコンデジでそれなりにいける。1キロ以上離れてたら、やはり望遠レンズが欲しいところだ。

 それと、「リモート撮影」が可能な機種であること。一番いいのがケーブルレリーズ。カメラとケーブルでつないで手元で撮影する。最悪、カメラのシャッターボタンを指で押してもいいけれども、押したときの指のちょっとした力でブレちゃうのでそこは気を付けたい。ワイヤレスリモコンでもいいし、Wi-Fi搭載機ならスマホをリモコンとして使えるかも。それはそれでよし。

 個人的にはミラーレス一眼かレンズ一体型カメラが花火撮影は楽だと思う。さらに背面のモニターが可動式だともっといい。楽な姿勢で撮れるから。

 三脚は数千円の安くて軽くて細いものだと、三脚自体の安定性がよくないので花火には向かない。ちょっとした風でブレることもある。それなりに安定した写真用三脚(まあ売価で最低でも1万円以上、まあ、2〜3万円のものなら問題ないかと思う)を用意すること。重くてでかい方が安定していいけど、持って行くのも大変なので、その辺は自分の懐具合や体力と相談すべし。

 さらにレジャーシートや折りたたみ式の座布団、飲み物食べ物虫除けその他諸々花火見物にあるとよいものはあるとよい。浴衣美女やビールは撮影に集中できなくなる恐れがあるが、そこは個々人の問題なので言及しません。

2.撮影場所の確保

 撮影で一番大事なのが、撮影場所の確保。行き慣れない花火会場できっちり撮るぞ、と思ったら、まだ明るいうちから出かけていい場所を確保したい。

 花火大会のWebサイトを見ると、打ち上げ場所の詳細な地図がたいてい掲載されているので、それを見ながらある程度見当をつけておくのがいい。見通しがよくて、前後の人の邪魔にならない場所だ。

 川での打ち上げなら土手の上や斜面がお勧めだし、打ち上げ場所が対岸だと運がいいと川面への反射を使えるかもしれない。近すぎても遠すぎても撮りづらいし、三脚+カメラが後ろの人の邪魔になってもよくないし、逆に前の人の頭が邪魔になってもよくない。

 困ったら、まだ明るい午後のうちに会場へ行き、三脚を探す。花火撮影に慣れている人は、早めに場所を確保してるものだから。三脚が何本も立ってたら、そこが撮影に向いてる場所だと思っていいので、参考になる。

 低い位置から見物客のシルエットを入れるという撮り方もあるし、打ち上げ場所の至近距離から超広角で迫力ある花火を撮るのもいいし、ちょっと離れたところから客観的に花火を楽しむのもいいわけで、こうでなきゃいけない、という場所はない。

 まあ前後の人の迷惑にならないのが大事かな。ちなみにこのときはこんな場所で撮りました。

花火撮影の場所 こんな場所

 川の土手を少し上がった斜面。斜面は後ろの人の迷惑になりづらいし、前の人のあたまも被りづらい。露店のテントがずらっと並ぶ様も悪くない。奥に見える川の向こうで花火が上がる(はずである)。

3.カメラのセッティング

 まずレジャーシートを敷き、三脚を立てる。ここで三脚の基本を2つばかり。

 センターポールはできるだけ使わない。最後の高さの微調整だけにする。その方が三脚は安定する。斜面の場合、センターポールが垂直になるよう各足の長さを調整する。その方が安定する。そして各ネジをきっちり締める。三脚を立てたら上からぐいっと雲台を抑えてみて、ネジが閉まってるか、地面にめりこまないかざっくりチェックするといい。

 そしてカメラを雲台に装着したらセッティングである。

 撮影モードは「マニュアル」に固定。ISO感度はそのカメラで一番高画質になる感度に固定する(ISO100から200くらい。標準設定で可能な一番低い感度と思っていい)。拡張感度としてISO感度を下げられるカメラもあるけれども、拡張感度は使わない。

 絞りはF11に決め打ちしてOK。まあお好みでF8〜F16の間で適当に。シャッタースピードは「バルブ」(Bと書いてある)にすべし。Bってのは手動シャッタースピードだと思っていい。シャッターボタンを押している間だけ、シャッターが開くので、花火の様子次第で自分でコントロールできるのだ。巨大で派手な花火が連発で上がったときは早めにシャッターを閉じないと花火どころか大爆発状態になるし、シンプルな花火がちょこちょこと上がるときは長めにしていくつかの花火を重ねたくなる。

 フォーカスもマニュアルにして無限遠に合わせる……といってもまあ難しいので、とりあえず、視界にはいる一番遠くて明るいもの(遠くの街の灯りとか)に合わせてしまえばOKだ。絞り込んでいるので、フォーカス位置はアバウトでよい。100メートル以上離れたどこかに合わせておけば何とかなるものだ。

花火撮影の設定 花火撮影の設定の例

 ズームレンズを使う場合、ズーミングによってフォーカス位置がずれる(レンズが大半な)ので、ズーミングしたらその都度合わせなおすこと。そしてレリーズをつなぎ、ちょっと試し撮りをしてチェックして、あとは打ち上げをのんびり待つ。

 カメラの手ブレ補正はオフにしておくのがお勧め。三脚がしっかりしていれば、オフの方がよい。

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