基本操作はシャッター回りの電子ダイヤルと背面のホイールの組み合わせで行う。上面には撮影モードダイヤル(M2はここがシンプル化されてた)と露出補正ダイヤル。独立した露出補正ダイヤルが操作感を大きく向上させている。
小さいけれどもグリップがしっかりしてるので、握ったまま親指でダイヤルを回すという操作が自然にできる。人差し指を少し動かせば電子ダイヤルもさっと回せる。これは快適。
背面モニターはチルト式。180度上に向ければ自分撮りにも対応するし、下方向にも45度傾く。もちろんタッチパネル搭載でQ.MENUなどの操作のほか、タッチAFやタッチシャッターにも対応している。
外付けEVFはアクセサリーシューに装着可能。限定2万5000台で、EVFがセットになったモデルも用意されており、ちゃんとファインダーを覗いて撮りたい人はEVFを付けるべし。追従性こそさほど高くないが、見え具合はなかなかよい。
細かい事だが、使用感的には重要だし、Webサイトにも書いてあるので触れておくと、モニターもEVFも三脚穴もちゃんと光軸と中心が合っているのはよい。何気ないことではあるが、光軸がちゃんと合ってると感覚的にフレーミングしやすいのだ。
さらに電子水準器も搭載している。
まあ要するに、EOS MやEOS M2に比べると、EVFやチルト式のモニターなど、ミラーレス一眼ならではの良さがしっかり盛り込まれて完成度が高いカメラになっているということだ。
操作系で1つ苦言を呈するとすれば、電源インジケーターが分かりにくいこと。電源ボタンの手前にあるLEDはSDメモリーカードのアクセスランプになのだ。省電力機能によりモニターが消灯されると、電源が入っているのか切れているのかが一目で分からず、電源を入れようとボタンを押したら逆にオフになってしまったことが何度もあった。電源インジケータはほしかったなと思う。
もう1つ、シーンインテリジェントオート時にAF補助光をオフにできないのもちょっと困った(AF補助光ってけっこう目立つから)。でも、気になった点はまあそのくらいだ。
撮影モードは非常に多彩。EOSではなくPowershotのハイエンド機(PowerShot G7Xなど)と同等のバリエーションを持っており、シーンモードのほかにクリエイティブフィルターも使えるし、プラスムービーオート機能もある。撮影機能はPowerShotゆずりで、メニューデザインはEOS系という両者を組み合わせた感じだ。
面白いところではクリエイティブアシスト。カメラ用語を知らなくても、アイコンを使って感覚的に絞りや露出や彩度などを変更できるもので、カメラに慣れてないけどフルオートから脱却したい人にもいい。
動画はフルHDで30p。ファイル形式はMP4だ。またWi-Fiにはもちろん対応。底面にNFCを持っており、NFC対応のスマホ(まあほとんどのAndroid機だ)ならNFCアイコンを合わせるだけで自動的にスマホとつながる。そうすればリモート撮影も可能だ。
あれこれ機能が充実した分、EOS M2より一回り大きくなり、本体重量も300グラムを超えてちょっと重くなったが、小型軽量でAPS-Cセンサーを使ったミラーレス一眼としては非常にバランスがよくて、EOS Mシリーズの核となるカメラがやっと登場したかと感慨深い。
なにより、EOS MやEOS M2がエントリークラスだとしたら、EOS M3はミドルクラスの製品。それでいて初心者向けの機能もちゃんと持ってるから、幅広いユーザーに勧められる。
けっこうあれこれ強化されたので価格も上がったかなと思いきや、これがかなり戦略的価格というか、APS-Cセンサー機でEVF付+ダブルズームキットでこの価格で出しますか、というお値段なのだ(実売予想価格は、ボディが5万6800円前後、18-55レンズキットが7万1800円前後、ダブルレンズキットが8万5800円前後、ダブルズームキットが9万6800円前後。)。このコストパフォーマンスならヒットしそう。実際、現在は品薄になっているようである。
特にキヤノンのミラーレス一眼を待っていた人は手に取ってみるべし。
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