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想像を超えるダイナミックな写り――キヤノン「EF11-24mm F4L USM」交換レンズ百景

» 2015年07月07日 17時00分 公開
[三井公一ITmedia]
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EF11-24mm F4L USM EF11-24mm F4L USM(ボディはEOS 5Ds R)

 キヤノン「EOS 5Ds R」のファインダーをのぞくと、想像を超えた広い世界が眼の前に広がっていた。装着したレンズは世界最広角ズームレンズ「キヤノン EF11-24mm F4L USM」。前玉はとても巨大で、まるで大きく見開いた目玉のようでもある。そのレンズから写し出される絵はとても魅力的なものであった。

 カメラボディに装着しなくてもズッシリとくるEF11-24mm F4L USMの重さは約1180グラム。これにEOSの一眼レフボディが加わるとおよそ2キロとなる。かなりヘビー級だ。しかしそのホールド感は悪くない。巨大な前玉の後ろからグッとくびれているので、その部分に左手をかければ意外なほど安定する。フォーカスおよびズームリングの動きも上質で、ゴリゴリとした感触や引っかかりは皆無だ。

 写りはまさにエクセレント。キヤノンの光学技術を惜しみなく投入して作られただけはある。レンズも世界最大口径となる外径87ミリの研削非球面レンズを含む、4枚の非球面レンズをおごっている。各種収差を徹底的に封じ込めた設計で、それはファインダーをのぞいただけで感じられるほどだ。画面中央はもとより、流れがちな周辺部の描写も恐ろしいほどだと感じた。周辺光量の低下もわずかで、1つ絞ってやるだけでかなりの低減をみせる。撮影した画像を等倍で確認して思わず唸ってしまったほどの写りだ。逆光にもほど強く歪みも少ないので、風景から建築物の撮影などにかなり重宝されるレンズになるのではないか。

 今回は5060万画素のEOS 5Ds Rでインプレッションしたが、この組み合わせでの撮影は本当に面白かった。高精細で気持ちのいいくらい真っ直ぐな写りを、PCでチェックするのが楽しくてしょうがないくらいである。両者合わせると100万円オーバーの世界だが、素晴らしいレンズだけに、現時点での最高画素のカメラと組み合わせて使うとその真価を発揮できそうだ。

 11ミリという画角は想像を超える。ダイナミックな写りが得られるが、その分フレーム内の構成力が問われる。太陽を入れ込んで撮影したが、コーティングのおかげでイヤなフレアなどは見られない。画面の隅々まで高品位な描写である。

EF11-24mmF4L USB 絞り優先オート(F5.6、1/800秒)、ISO100、WB:オート、露出補正:-1、レンズ:EF11-24mm F4L USM、焦点距離:11mm

 歪みも極めて少ない。撮影したJR京都駅のコンコースを見てもらえばそれを実感できるはずである。とても気持ちがいい描写だ。この記事のカットは手持ちでの撮影だが、正確性を求められる場合は三脚を使用し、マンフロットのギア雲台などを使用して慎重に撮るべきだろう。

EF11-24mmF4L USB 絞り優先オート(F5.6、1/80秒)、ISO100、WB:オート、露出補正:+0.667、レンズ:EF11-24mm F4L USM、焦点距離:11mm

 24ミリ端では開放でも周辺光量落ちはわずかだ。レンズの性格上、ワイド端を使用することが多くなると思うが、ズーム全域で安定した描写を得られる。

EF11-24mmF4L USB シャッター優先オート(F4、1/160秒)、ISO125、WB:オート、露出補正:-2、レンズ:EF11-24mm F4L USM、焦点距離:24mm

 ワイド端は使っていて実に爽快だ。狭い場所はもとより、オープンエリアでの超ワイド感を味わえるからだ。上手く使いこなせば、ダイナミックかつ人と違った写真を撮ることができるだろう。

EF11-24mmF4L USB 絞り優先オート(F5、1/1250秒)、ISO100、WB:オート、露出補正:0、レンズ:EF11-24mm F4L USM、焦点距離:11mm

 横浜港・大さん橋でのカット。ここはいつ来ても広々とした素晴らしい写真が撮れるスポットだが、このレンズを使ってさらに広大に写すことができた。近景から遠景、そしてモデルの髪の毛から服の生地まで納得の写りだ。

EF11-24mmF4L USB 絞り優先オート(F8、1/400秒)、ISO100、WB:オート、露出補正:0、レンズ:EF11-24mm F4L USM、焦点距離:11mm

 この11ミリという画角は広角レンズとしてあまり馴染みのないものだ。約45万円という高価格だが、もし購入できれば「新しい眼」を手に入れることと同じ事である。それはあなたの表現手段を増やすことになるのだ。

EF11-24mmF4L USB 絞り優先オート(F8、1/800秒)、ISO100、WB:オート、露出補正:0、レンズ:EF11-24mm F4L USM、焦点距離:11mm

 風景や建築写真だけでなく、モデル撮影にもこのレンズは有効だ。パースペクティブを利用して、ダイナミックでユニークな写真を撮ってみよう。モデルにグッと近寄れば、背景をぼかすことも可能になる。

EF11-24mmF4L USB プログラムオート(F8、1/125秒)、ISO100、WB:オート、露出補正:+0.667、レンズ:EF11-24mm F4L USM、焦点距離:11mm

ロケ地情報:横浜港大さん橋国際客船ターミナル

横浜港に面した旅客船の玄関口、横浜港大さん橋国際客船ターミナルは、大型客船が2隻同時に接岸できる規模を持つ岸壁だ。屋上はウッドデッキと芝生の広場が広がっていて、24時間自由に出入りできる、横浜の注目スポットの1つ。北側にはみなとみらい21地区や新港埠頭、赤レンガ倉庫のエリアを望み、南側は山下公園や氷川丸、マリンタワーの眺望が広がる。東(先端)側は鶴見つばさ橋や横浜ベイブリッジの景観が、西側は神奈川県庁、横浜税関、開港記念館の「キング」「クイーン」「ジャック」が並ぶ景色が楽しめる。ダイナミックな風景を手軽に見て回れるため、カメラを持った人も多く訪れる。

客船の入出港情報やイベント情報などは、大さん橋のWebサイトから確認できる。


(モデル:伊藤千晶/オスカープロモーション)

(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭に置いているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)

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