EXRモード以外に面白い機能が2つついた。ひとつは「ぼかしコントロール」。コンパクトデジカメは撮像素子が小さいので背景のボケも小さい。F70EXRはそれに対し、「ぼかしコントロール機能」で対応した。通常の撮影とピント位置をずらした写真の2枚を連写して合成することで、背景を極端にボカした写真を撮れるのだ。
1枚目の方が背景が大きくぼけているのが分かる。画角が違うのは、ぼかしコントロールを使うと画角が少し狭くなるため。
もうひとつは4枚連写して画像を合成することでノイズが少ない高感度写真をとる「重ね撮り連写」機能。
重ね撮り連写だと圧倒的にノイズが少ないのは一目瞭然。
この2つの機能が優れているのは、手持ちでも使えること。手持ちで連写するとどうしても手ブレによって構図が微妙にずれるが、合成時にカメラ内でずれを吸収してくれるのだ。その分、画角が狭くなるが、しっかり持って撮れば、三脚がなくても恩恵にさずかれるのはよい。ちなみに上の重ね撮り連写の作例は三脚なしで撮っている(ただし、さすがに被写体は静止してないとダメ)。
と、F70EXRの特徴である、EXRモードと2つの新しい撮影機能を取り上げた。
それ以外の機能はというと、普通によくできてる。顔検出はしっかり働くし、フラッシュの光量調整も賢くなって発光させてもあまり不自然さのない写真に仕上がってくれる。マクロはワイド端で5センチまでだ。気になったのは縦横検出機能がないことくらい。
何より、10倍ズームになったおかげで、用途が幅広くなった。28ミリの広角でも280ミリ相当の望遠でも使え、手ブレ補正もついてて、なおかつ高感度にも強い常用コンパクトデジカメなのである。価格的にも10倍ズームクラスではお手頃だ。
画質的にも、DRとSN時は画像サイズが500万画素相当になるが、大きなサイズにプリントしない限り、あるいは極端にトリミングしない限り500万画素あれば十分だ。例えばプリントはハガキか2Lサイズまで、あるいはネットにアップして公開するのがメインなら問題なかろう。それ以上にダイナミックレンジが広くなったり高感度時のノイズが少ない方が幸せだ。
SNモードでもISO1600以上ではさすがにノイズが目立つがISO800までは常用可能レベルといえそう。
よって、普段はEXRオートで、必要に応じてHR・DR・SNの3つのモードを使い分けてやるのが一番F70EXRを楽しめるだろう。
画素数はあまり気にしない、でも画質は重視したい&デジカメに4万円以上は出せない&広角も望遠もそれなりに欲しい&少しでも小さなカメラがいい、という贅沢な人はこれを第一候補にしてよさそう。あと、高感度時の画質やフラッシュの賢さを考えると室内で撮ることが多い人にも普通にお薦めできる。コストパフォーマンスも非常に高いし、これ1台でたいていカバーできそうだ。
室内での撮影が気軽にできるデジカメだからこそ、F70EXRやソニーから登場する「DSC-WX1」や「DSC-TX1」のような、画素数よりも高感度をウリにしたコンパクトデジカメはどんどん歓迎したい。
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