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この春は「裏面照射」が面白い! 搭載5製品を一気に試す(後編)(3/5 ページ)

» 2010年04月23日 09時33分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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ブレ補正編

 ブレ補正に連写合成を使うという技もある。わかりやすいところではソニー「DSC-HX5V」の「人物ブレ軽減」。これは被写体ブレしないようわざと感度を上げて高速シャッターで撮影する。でもそれではノイズが増えるので、高速連写した画像を合成することでノイズを軽減するというわけだ。被写体が動いてしまった場合は合成しないので写りが破たんすることはない。

 カシオ「EX-FH100」の「HS手ぶれ補正」も同じように連写した画像を合成することで手ブレをおさえる機能だ。富士フイルム「FinePix HS10」が持つ「5軸手ブレ補正」も連写して合成するようだ。高速連写した際にセンサーがとらえた手ブレ情報を利用して合成することで、電子式手ブレ補正を行うわけだ。

photo DSC-HX5V「人物ブレ軽減」で撮影。1/60秒 ISO3200
photo EX-FH100「HSブレ補正」で撮影。 1/10秒 ISO800
photo FinePix HS10「五軸手ブレ補正」で撮影。1/5秒 ISO1600

 DSC-HX5VはISO3200までオートでぐいぐい上がるので、それなりの場所なら高速シャッターで撮れる。そして約1段分ノイズを減らす。感度高めで撮った分合成してノイズを減らすのが特徴だ。だからかなり暗い場所でも使える。EX-FH100はISOオートだとISO800までしか上がらなかったのがちょっと残念。ブレ補正は強力だが暗い場所では被写体ブレが心配。

photo FinePix HS10の5軸ブレ補正はセットアップの「電子ブレ補正」でオンオフを選ぶ。

 FinePix HS10の「5軸手ブレ補正」はさまざまな撮影モードで使えるのが利点。プログラムAEでもマニュアル露出時でもOK。ISO感度も自分でセットできる。通常の撮影よりちょっと撮影間隔が長くなる(約1秒程度)が、720ミリ相当で1/5秒というスローシャッターで手持ちという無茶な条件でも5枚に1枚くらいはこのくらいブレを抑えた写真を撮れた。

 気軽に使えるのはDSC-HX5V、撮影時のセッティングに自由度があるのはFinePix HS10という感じだ。EX-FH100はもっとISO感度をあげていいのに、と思う。

HDR(ハイダイナミックレンジ)編

 HDRは「ハイダイナミックレンジ」の略で、一般的には露出を変えて複数の写真を撮り、それを合成することでダイナミックレンジが広い画像を作り出す技術。それをカメラ内でやろうというのが今年のトレンドであり、今回の目玉機能のひとつだ。

 それを手持ちでやるには高速連写が不可欠。速くないと手持ちで構図変えないで撮るのは大変だし、ということで「裏面照射型CMOSセンサーモデル」ならではのウリって感じになっている。

 カメラ内HDR機能を持つのは、ソニー「DSC-HX5V」(逆光補正HDR)、カシオ「EX-FH100」(HSライティング)、ニコン「COOLPIX P100」(逆光HDR)、リコー「CX3」(ダイナミックレンジダブルショット)の4機種だ(カッコ内は機能名)。それぞれオートで撮影したときとHDRで撮影した時を並べてみた。

photophoto ソニー「DSC-HX5V」でオート撮影(写真=左)、HDRオン(写真=右)
photophoto カシオ計算機「EX-FH100」でオート撮影(写真=左)、HDRオン(写真=右)
photophoto リコー「CX3」でオート撮影(写真=左)、HDRオン(写真=右)。CX3のHDR機能であるダブルダイナミックレンジはオンオフの2枚を同時に撮ってくれるのがうれしい
photophoto ニコン「COOLPIX P100」でオート撮影(写真=左)、HDRオン(写真=右)

 COOLPIX P100はちょっと極端すぎで不自然さが出てしまった。EX-FH100は強め。CX3とDSC-HX5Vはけっこうナチュラルなのでコントラストが大きすぎるときは効果が弱く感じるかも。EX-FH100は露出を変えて3枚撮って合成していることもあるのか、うまくいったときの効果は大きい。

 もうひとつの注目は処理時間。COOLPIX P100は合成に約20秒もかかった。EX-FH100は約7秒。CX3とDSC-HX5Vが約5〜6秒だ。5〜7秒くらいなら待てるかなという感じ。

 なお、HDRオンとオフで画角が異なるカメラがある。カシオは画角が狭くなる分画素数も900万画素相当になっている(ほかの2機種は画素数こそ変わらないが、まあその辺はデジタル処理の過程で1000万画素相当にしているのだろう)。画角が狭くなるのは、周辺部を使わず中央の900万画素相当分だけを使うことでより高速な読み出しができるモードをセンサーが持っており、それを使っているからかと予想できる。

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