ひところは複数の記録形式や記録メディアが併存していた家庭用ビデオカメラだが、ここ最近では、AVCHD形式でのフルハイビジョン(1920×1080ピクセル)対応、記録メディアは内蔵メモリ&メモリカードスロットというスタイルが標準的なものとなった。
ただ、結果としてレンズやボディサイズを除くとスペック上の差異が少なくなり、AV機器としてはとにかく、一般的な使い方をする限りでは各モデルが差別化を打ち出しにくくなっていた。そして2011年春。その差別化のひとつとして「撮影した映像を楽しむ」機能を搭載した製品がいくつか登場してきた。
その中で最もユニークなのが、プロジェクターを内蔵して、撮ると見るを1台に集約したソニー「HDR-PJ40V」「HDR-PJ20」だろう。今回は上位モデルである「HDR-PJ40V」を試用した。
HDR-PJ40Vは定評ある裏面照射型CMOSセンサー“Exmor R”(有効画素数は動画撮影時で265万画素、静止画撮影時で354万画素)に、35ミリ換算29.8〜357.6ミリ相当の光学12倍ズームレンズを組み合わせる。レンズの倍率は12倍だが、光学ズームとデジタルズームを併用してズーム倍率を向上させる「エクステンデッドズーム」を使えば17倍までの望遠撮影を行える。
撮像素子やレンズ倍率は昨年春のミドルクラス「HDC-CX370V」(レビュー)に共通しており、強力な手ブレ補正を始めとした主要な撮影機能もほぼ継承されている。被写体や撮影状況を自動認識するフルオート撮影モードである「おまかせオート」も継承しており、三脚の有無などもきちんと認識する。
このおまかせオートは非常に優秀で、一般的な利用ならば手動で設定を施す必要はほぼないだろう。そのため、タッチパネルを利用した操作系も大きめのアイコンを利用した基本的にフルオート撮影を強く指向したものとなっているのだが、反面、ホワイトバランスのマニュアル設定など詳細な設定などを行おうとすると、どこに何があるのか分からなくてまごつくかもしれない。
また、CX370Vに比べるとメニューの一覧性は向上しているのだが、静電式に比べて感度の劣る感圧式タッチパネルで小さなアイコンやカーソルをさわりながら設定や確認を行うのはやはりストレスを感じる。前述したようおまかせオートが非常に優秀なので、頻繁に設定を変更することは考えにくいのだが、タッチパネルはやはり静電式の方が操作しやすい。この辺りは次機種での搭載を検討してもらいたいところだ。
実際に撮影した感想だが、やはりおまかせオートは良くできているという印象だ。手ブレ補正は振る舞いがきわめて自然で、カメラを大きく動かしても不自然な挙動はほとんど感じられず、顔認識も優秀。横を向いている状態でも高い確率で顔を認識する。もちろん認識できない場合もあるのだが、完全にピントが抜けてしまうことはあまりない。
一方でもったいなさを感じてしまうのが、撮影時にはファインダーとして機能する液晶の発色。本製品は「クリアフォト液晶プラス」を搭載しており、反射に強く、日差しの強い日中の屋外でもよく見えるのだが、同時に色がかなりのっぺりした感じに見えてしまう。PCやテレビに映し出すとそんなことはないのだが、撮影時にそれが実感できないのは惜しい。
録画形式はAVCHDで、撮影モードは「FX」(ビットレート24Mbps)、「FH」(17Mbps)、「HQ」(9Mbps)、「LP」(5Mbps)が用意されている。「フレームレート」の項目には60i/60p/24pの3項目が用意されてるのだが、60pを選択すると自動的に撮影モードはFXに固定され、24pを選択するとFXないしFHの2択になる。一般的な利用ならば、動画撮影中の静止画撮影も可能となる、FXないしFHの60iを選択するのが無難だろう。
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