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「もう一度“PEN”を見直して、大胆に」――受け継がれるオリンパスの“PENイズム”(後編)(2/3 ページ)

» 2014年07月10日 07時00分 公開
[野村シンヤ,ITmedia]

━━2013年の「E-P5」では操作ダイヤルが増えるなど、操作性を重視した印象ですが、どのようなポジションを目指した製品なのでしょう。

片岡氏: E-P3の後、2012年3月にファインダーとグリップを備えたミラーレス一眼「OM-D E-M5」を販売開始しました。

photo PENシリーズの企画を担当する片岡氏

 それまでPENは「持つ喜び」を前面に押し出してきましたが、OM-Dの登場もあり、1/8000秒の高速シャッターや5軸手ブレ補正など、最先端の技術をPENに投入することで、「撮る喜び」「操る喜び」もプラスしたいと思うようになりました。

 さらにWi-Fiやチルト液晶といった新要素も追加しましたが、E-P1からのデザインや大きさは維持したいと思っていましたので、外観のイメージは保持しながらも、中身を大きく進化させたのがE-P5という位置づけですね。

━━このE-P5は正面に「OLYMPUS」ではなく、「OLYMPUS PEN」と文字が入っているのですが、これは何か理由があったりするのでしょうか。

片岡氏: 弊社はカメラに「OLYMPUS」という文字を入れるルールがあり、それに沿ってきたのですが、世代を重ねてきたこともありオリンパスの中でもPENが特別なんだというメッセージを込めたいと思っていました。そこでE-P5では「OLYMPUS PEN」と「PEN」を加えた表記にすることにしました。

photo 歴代PENのなかでE-P5だけが「OLYMPUS PEN」と刻まれている

高橋氏: 実はE-P3の検討時にも「OLYMPUS PEN」の文字を入れたモデルは試作しました。社内での評判はよかったですが、正直な話、踏ん切りがつかなかったですね。E-P5の時にはOM-Dがブランドとして確立されていたので、PENも「OLYMPUS PEN」と力強く名乗りましょうと。

コダワリを保ちながら、進化するPEN

━━初代を出されてから5年経ち、E-P1からE-P5まで出されてきて色々な要望があったかと思います。それらを踏まえて、企画開発、デザインのうえでどういった変化があったのか教えていただけないでしょうか。

高橋氏: デザインの側面で言えば根底にあるものは変わってないのですが、簡単で使いやすいという要素はPEN Liteシリーズに受け継がれていき、Pの一桁シリーズはより写真機らしさを求めて変化していますね。

片岡氏: 企画の立場で言うと、PENは女性にも手にしてもらいたいと思って企画をスタートさせており、それは成功したと思います。

 ただ、月日がたち、女性向けという側面はPEN Liteが担うようになりましたし、「本格的なカメラ」というイメージはOM-Dが担うことになりました。このよう広がりや変化もありますので、もう一度“PEN”というのを見直して、大胆に改革していきたいなという思いがあります。

━━今までPEN Liteで応えていたものをレンズ固定式の「STYLUS SH-1」のようなモデルで応えるという、そういった変化もあるわけですね。

片岡氏: オリンパスとして、私たちのカメラでより多くの人に写真を撮ることを楽しんでもらいたいという気持ちが前提にあることは変わりません。その前提に立てば、STYLUSがPENのようなカタチで登場することも、我々の中ではアリですね。

━━レンズ交換式と固定式の話が出たのですが、PENはマイクロフォーサーズ規格の採用ありきだったのでしょうか。

片岡氏: マイクロフォーサーズ規格で作ろうというのは当初からありましが、レンズ固定式でもいいのではないか?という意見もありました。固定式の方がサイズ面で有利になりますしね。ですが、レンズを交換できる楽しみを提案したいと思いましたし、楽しみを増やすことで次の市場に繋がるのではないかという気持ちもありました。

 そのかわりという訳ではないですが、初代PENの開発当時から「交換レンズは大きい」というイメージを打破したて、E-P1の標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」は未使用時に小さくなる沈胴式構造を採用することにしました。レンズ性能と沈胴構造の並立は両立が難しく、仕様を出したときには社内からもあきれられたのですが(笑)。

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