ロングセラーを続ける一眼レフ、キヤノン「EOS Kiss」の新作として「EOS Kiss X5」が登場した。同シリーズは2003年の初代モデル以降、約1〜1年半に1回のペースでモデルチェンジを行い、そのたびに画素数を増やしてきた。だが今回は、昨年登場の「EOS Kiss X4」(レビュー)から画素数は変わらず、引き続き有効1800万画素のCMOSを採用。処理エンジンの「DIGIC 4」や、秒間3.7コマの連写速度といったスペックも従来通りである。
では何が変わったのか。いちばんの進化は、液晶モニタをバリアングル式にしたこと。ひとつ上のクラスに位置する「EOS 60D」の液晶と同じように、左右に最大175度まで、上下に最大270度まで回転させることができる。ローアングルやハイアングルでの撮影がしやすいほか、カメラを使わないときは、液晶面を内側にして閉じ画面を保護することもできる。
バリアングル化にともなって、ボディサイズは従来機EOS Kiss X4よりもわずかに大きくなり、本体重量は40グラム増加した。ファインダーの倍率が0.87倍から0.85倍へとスペックダウンしたのも、バリアングル化のシワ寄せかもしれない。とはいえ、個人的にはバリアングル化は大賛成。構図の自由度が格段に広がり、ファインダー撮影では気が付かなかった視点や撮り方を発見させてくれるからだ。
液晶のサイズと画素数、およびライブビュー撮影の使い勝手については、従来機EOS Kiss X4と同じと考えていい。すなわち、背面の専用ボタンを押すことで、液晶にライブビューを表示でき、必要に応じて最大10倍の拡大表示やヒストグラム表示、グリッド表示などができる。
ライブビュー時のAFもこれまでと同じく、コントラストAFが作動する「ライブモード」と「顔優先ライブモード」、位相差AFが作動する「クイックモード」の3方式に対応。他社のミラーレスカメラに比べると、コントラストAFのスピードが相変わらず遅いのは残念なところ。じっくりとピントを合わるならライブモードを、動作音とライブビューの中断に目をつぶってAFスピードを重視するならクイックモードを、それぞれ使い分けるようにしたい。
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