露出系以外の操作や機能は、サイバーショットやαといった同社デジカメそのもの。何しろ撮影モードダイヤルにはスイングパノラマモードもあるし、HDRも美肌機能もオートポートレートフレーミング機能も持っている。このクラスのカメラに(しかもレンズは35ミリ単焦点だ)スイングパノラマが必要か、美肌機能なんて似合わないんじゃないかと思わないでもないけど。
Fnキーを押すと、撮影時の設定をまとめて行える。このときのデザインはαシリーズそのもの。十字キー+ホイールでさっと変更できる。このあたりはとてもデジカメっぽい。
Fnキー経由だとどうしても操作のためのステップ数が増えるので、よく使う機能は各キーに割り当てる方が幸せだ。上面のCボタン、背面のAELボタン、そして十字キーの左右と下、合わせて5つのボタンに機能を割り当て可能なので、まあ必要なものはそれでたいていまかなえるだろう。そうするとメニューを介さずにホワイトバランス調整もピクチャーエフェクトもAFモード切り替えもできるのでかなり使い勝手が増す。
ピクチャーエフェクトは13種類あり、そのうちいくつかはさらに細かい設定が可能だ。動画はAVCHDの60iか1440×1080のMP4形式で。動画モードにするとメニューから絞り優先やシャッタースピード優先など露出をコントロールしながら撮影するモードを選べる。絞りを思い切り開いて背景をボケさせるといった動画撮影も可能だ。
ボディは比較的フラットなので、もうちょっとしっかりグリップしたいという人もいるだろう。ここで普通はグリップを後から装着するオプションなんかを用意するものだがRX1は逆。アクセサリシューに装着して、親指をひっかける場所を提供する「サムグリップ」(TGA-1)を用意した。
この発想は面白い。まあグリップを使っているとEVFをつけられなかったり電子ダイヤルが回せなかったりするのだが(回すときはグリップを反対側に倒す)、確かにこれをつけてると親指にぐっと力がはいって安定する。面白い発想である。
EVF「FDA-EV1MK」は本製品専用で、XGA有機ELモニタを内蔵。クオリティも高くファインダーをのぞきながら撮りたい人にいいが、けっこう大きいので(というかボディが小さいのか)、デザイン的には頭でっかちになっちゃう。EVFや光学ファインダはつけないでコンデジ的に使う方が似合う気はする。
本体と同時に購入したいオプションはレンズフード「LHP-1」。コンパクトな金属製でRX1に似合う。余計な光をカットするためにもレンズ部保護のためにもぜひつけたい。
バッテリの持ちは公称約220枚とさほどよくない。充電はUSB給電式で、本体のインタフェースはmicroUSB端子となっているから、いざとなったら市販のモバイルバッテリーなどを使って空いている時間に追加充電すればいいのはありがたい。予備バッテリを用意したい人は充電器とともに別途購入を。
全体としてみたら、予想以上に素晴らしいカメラだったとしかいいようがない。35ミリ単焦点なので何でも撮れるという訳じゃないし、25万円近くするけど、日常を何気なく撮ってもいいし、多少無理なセッティングで撮ってもイメージ通りに仕上げてくれる。特に階調の柔らかさやほどよい描写力は特筆すべきで、絞りを開いて柔らかさを楽しんでも、ぎゅっと絞り込んでキリッとした写りを楽しんでもいい。
お金がある人は買って損はないし、お金がない人は「欲しいけど買えない」リストの筆頭に置くのがよいかと思う。いや、下手に触って欲しくなる方が不幸かも、というくらい。そんな、今までなかったダントツの価格とクオリティを誇るあこがれのコンデジである。そういうはるか上を行くカメラが出てきたのはいいことだと思う。
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